7月の例会の話題

例会風景

例会風景



 こんばんは.鹿昆例会係の金井です.今月も例会の報告を行います.

なお,SATSUMAを今月末(or来月始め)に発送予定ですが,その中に総会の講演者募集の要項を
同封する予定でいます.夏休みを前に壮大な計画または身近な観察を試みられている方,
ぜひ発表を念頭において下さいますよう,お願いします.

今月は江平憲治さんに「タイのトンボなど」と題して,昨年一年間タイのチェンマイ大学で過ごされたときのお話を,
スライドを用いながらお話頂きました.

タイは気候的に5月中旬から10月までの雨季と,11月から翌年5月までの乾期に気候が分けられます.
雨季といっても一日中雨が降るわけではなく,一日の中で集中的に雨が降る時間帯があり,
その時間の後の晴れ間には昆虫がみずみずしく出てくるそうです.そんな環境の中での生活を,
(1)タイで見られた昆虫
(2)タイで確認されたトンボ
(3)タイのアルバム
という,3つの内容でお話いただきました.

(1)タイで見られた昆虫としては,沢に集団で吸水に来る色とりどりのチョウ(フタオチョウやハレギチョウ,
  その他シタキトリバネアゲハやシロチョウ,タテハチョウなど,)や,パイナップルに来るカミキリ,
  カラフル(毒々しい?)模様のバッタなどを見せていただきました.
   また,露天で売っているケンカ用のヒメカブトムシ(50バーツ=150円ぐらい)や
  佃煮になったタガメやハチ(結構高かったらしい)などには少し興味??が沸きました.
  昨年江平先生を訪ねていかれた今村氏は非常に佃煮を気に入った,などというお話もありました.

(2)タイで確認されたトンボについてはプリントも用意され,
  ・均翅亜目:ムカシカワトンボ科,ヤマイトトンボ科,ミナミカワトンボ科,カワトンボ科,モノサシトンボ科,
        ハナダカトンボ科など
  ・不均翅亜目:ヤンマ科,ミナミヤンマ科,サナエ科,エゾトンボ科,トンボ科など
   について,スライドを用いてお話頂きました.
   タイで今までに記録されている種数は314種,そのうち今回記録されたのは181種,うち5種は新記録種
  であったそうです.記録された科の中で最も多かったものは均翅亜目ではイトトンボ科の27種,不均翅亜目では
  トンボ科の57種であり,日本との共通種もこれらが多く全部で36種,つまり残りの145種は日本では
  見られない種ということになります.
   ミナミカワトンボ科の翅が黒光りしている姿やハナダカトンボ科の小さいが光沢をまとった姿,アカモノサシ
  トンボ属のあでやかな姿など,すばらしい生態写真でした.
   また,ミナミイトトンボ科の地上植物の茎への産卵や,潜水産卵を捉えた連続写真,それからモノサシトンボ
  科+イトトンボ科,コフキショウジョウトンボ+ハラボソトンボの異常連結や,ヤマイトトンボ科の♂+♂+♀の
  3連結の写真などもありました.

(3)タイのアルバムでは現地の小学校の写真や小学生とのふれあい,
            山岳民族のリス族での正月を迎えた様子などを見せていただきました.

質問では・トンボを見に行くのに時期があるか?
  →種によっては.例えばサナエなどは5月中旬の雨季に入ったばかりの時期がいいが,
   他の時期にも特異的なものがいる.
   日本の夏に行くのならばタイ北部,秋から冬にかけてはタイ南部がいいかもしれない.行けば,います.
・キングコブラはいませんか?
  →コブラは2回見ました.一回は人里近くだったのでびっくりした.
・服装は?
  →胴長は暑いので,長靴でした.深いところはズボンを脱いで行きました.長ズボンは必要です.
・採集は? →ナショナルパークは許可が3ついるらしく,半年近く待っても出ないことが多いらしい.
   もっぱら写真です.
      以上のような内容でした.きれいな写真をお見せできないのが残念です.
タイのトンボ

鹿昆のHPに戻る



では,一人一話です.

金井:南薩山川に6月カバマダラが来ました.卵幼虫成虫共にいましたが,ごく少数です.しかも,7月3日には
  ほとんどの幼虫がいませんでした.風に乗り大挙してやってくるかと思っていたが,春から夏にかけては
  偶然の個体が,By chanceで生活しているに過ぎない.しかし,その個体にも卵寄生蜂は寄生していた.
   それから,HPを作りました.例会報告をWeb版にしてみました.一人一話を載せているのですが,いいですか?
  何かありましたらおっしゃってください.アドレスは
   http://www.synapse.ne.jp/~viola-kk/index.html
  です.ご意見ご要望お待ちしています.

中峯敦子:吹上にジャコウアゲハを週一回見に行っています.現在第2化成虫個体が出始めたころです.
    これらの幼虫時代には,成長に大きなバラツキが生じました.想像するところ,母チョウが生みつけた
    ウマノスズクサの栄養状態が,次世代の成長速度に影響を与えていると思います.
    この羽化の早い遅いが第3化の発生をどのようにバラけさせるか,非常に面白くなりました.
     松食い虫の薬剤散布の影響を心配しましたが,ちょうど第1化の個体の蛹化時期に重なって葉裏にいたのか,
    あまり受けていないようです.7/1に吹上でツクツクホウシの声を聞きました.
    また,キョウチクトウに誤産卵されたジャコウアゲハの卵を手に入れましたが,孵化しませんでした.

中峯浩司:千貫平6月下旬よりアサギマダラが集まり始めています.本日も50マークし,計460マークになりました.
    本日は全て新鮮な綺麗な個体で,今までマークした410匹は全く混じっていません.
     このマーク個体が,昨日東市来町永里団地(海岸沿い)の団地ベランダにいるのを4歳の子が手で捕まえた
    らしいです(近日南日本新聞掲載予定).昨年千貫平には7月一杯いました.アサギマダラを見たら,
    是非注意して見て下さい.
     千貫平にはここ3年間ウラギンスジヒョウモン,メスグロヒョウモンはいますが,ウラギンヒョウモン,
    ジャノメチョウは見ていません.

草原性のチョウについて(大原賢二氏より)

   (質問:マークにはペン以外に効率のいい方法は無いか?
        →全国的にペンが多い.太目の物を使えば翅に穴は開かないです)

早川信義:6/30の紫尾山灯火採集でミヤマクワガタが採れなかったのは非常に残念です.
     霧の中から鹿が出てきてびっくりしました.
早川美保子:指宿商業の近くのギョボクで幼虫を採ってきたが,蛾の蛹になってしまった.
      ミカンの木にいたアゲハの幼虫を田上小にあげたら喜ばれた.ギョボク・ハルニレを校内に植えるように
     忠告(?)しました.

本山:25年前にタイ・チェンマイに行ったことがあるので懐かしかった.
   630に川内川流域宮之城でエリザハンミョウを採集した.海浜性と思っていたのでびっくりした.

菊川:えびのにアオハダトンボを撮影に行き,非常に感激した.
   県民の森でムカシヤンマの幼虫が昨年いた斜面が道路工事で削られており,非常にショックでした.

上野:621川辺でウスキシロチョウ目撃.
   630紫尾山頂でヒオドシチョウを採集.623には友人が2匹目撃.(報告に値する!!)
   霧島神宮などで照明灯火を見てまわると,マツノマダラカミキリ,ヒゲナガカミキリ,キボシカミキリなどが採れた.

熊谷信晴:5年程前にホソバセセリが発生していた五ヶ別府町に630行ってみたが,環境は変わっていないようだが
    全く見られない.ダイミョウセセリ,ウラナミジャノメがおり,ハッチョウトンボが(山の稜線にもかかわらず)
    いてびっくり.シバハギはぽつぽつ見られるが,弱っているようだ.
     ギョボク・ハルニレうちにあります.おっしゃってください.

松比良:昨年11月に江平さんを訪ねていったタイは楽しかった(余韻)..
   71ネアカヨシヤンマが加世田に発生していた.23
   75にも23頭いたので,発生しているだろう.翅アリを捕まえていた.

江平:伊集院の近所の池に行くと,ベニトンボが56頭いた.昨年は見れなかったが,その前の年にはいなかったので,
   どうやら北上が進んでいるらしい.

井上:須木村でウスイロコノマ♂を採集した.
   626串木野でリュウキュウムラサキ1♂(フィリピン型)採集
   630開聞町入野でオキナワビロードセセリ採集.シルビアシジミを狙っていったが,少なかった.
   沖縄から送ってもらったゴールデンシャワーにウスキシロチョウの幼虫がついており,11♀羽化.
   bolinaも採卵中です.

福田晴夫:6月上旬中国福建省へ行ってきた.迷蝶の発進地と期待したが,アサギマダラ,カバマダラ,
    リュウキュウムラサキ,タテハモドキなど,何も見られなかった.
    シロチョウ類は街中の街路樹に期待していたが,ほとんどクスノキであった.
     6/26-30三島諸島黒島へ.林道が南北にできており,東西を現在建設中.オガタマノキがあり,
    ミカドアゲハ新記録.シバハギは島中に多く,タイワンツバメシジミの記録もあるのでおそらくいる.
    クワガタはトラップにノコギリクワガタが少し来ただけだった.
     7/5牧園町にオオムラサキを探しに行ったが,クヌギに樹液が出ておらず,何もいなかった.
    ミズイロオナガシジミは探さなかった.

松下:昆虫談話会のBBSでこの会を知り,メールで問い合わせました初参加です.息子が虫に熱中しはじめました.
   蛾をやってみたい気がしています.

野田:家のレモンにアゲハ科の幼虫が5匹ほど,他にナガサキアゲハのメスが7/31530頃に5個産卵していきました.
   7/4バラの花にいたヤクルリシジミが花の付け根で蛹化,7/6に羽化.
  前回報告した白いモンキチョウは10卵産み,3匹羽化したが全部♂だった.

笹原:久しぶりの参加です.
   絶滅危惧種のハネナガチョウトンボの調査を松比良さんとしています.
   オグマサナエの飛翔個体を見るのが念願で人吉方面に行くが,まだ見れずです.
   ネアカヨシヤンマは指宿に行くと取れる.増えたなあ..

小野田:久しぶりです.昨年は45月ベトナム,夏1ヶ月タイ,秋に台湾へと行きました.
   今年は5月奄美,6月種子島へと行けました.
   大隅半島で海浜性ハンミョウを調べようと思っています.大隅にも攻めに来てください.
   情報をお持ちの方,是非ご連絡ください.

熊谷正弘:5/13クロコムラサキを犬迫小のハルニレで採りました.
     6/24に沖縄渡嘉敷島に行きました.マダラで一番多いのはツマムラサキマダラ.
    リュウキュウウラナミジャノメも採れた.ナミエシロチョウが非常に多かったが,昔はこんなことは無かった.
    南方系のチョウが北上しているのだなあ.
     6/23-24奄美大島 アカボシゴマダラ1♂,カラスアゲハ2♂.赤尾木にはカバマダラが多かった.

南西諸島のナミエシロチョウについて(大原賢二氏より)



以上でした.
  鹿児島の昆虫談話会BBS  http://bbs8.otd.co.jp/800601/bbs_tree
 で鹿昆を知った方が今回参加してくださいました.非常にうれしかったです.

 今度のSATSUMAの発送では,50周年総会の講演募集を行います.話したいことだけではなく,
「こんなの聞いてみたい」も大募集します.
例会/総会係りの金井まで,どうぞおっしゃってください.

では.

金井賢一  viola-kk@po.synapse.ne.jp

鹿昆のHPに戻る