某大学博物館教官からの所見
> ・標本商の歴史
> ・野外での採集行動が問題になる時とならない時の違い
> ・販売された昆虫が自然に影響を与えること など
欧米まで含めた歴史をたどると多くの博物館はコレクションを買い,その方法でコレクションを
大きくしてきました.ウオーレス,ベーツも一種の標本商でした.標本商と博物館との結びつきは
(歴史的に見ると特に)強いです.
今でも多くの博物館は標本商を利用しています.最近は生きムシも範疇となり生態展示で
多用していると思います.標本商が無いと博物館が成立しない,とは言いませんが,
あると,企画したコレクションや展示が,安易に作製できます.
しかし,これは博物館の企画方針,ポリシーと関わる問題で,大学博物館では標本商から
標本を買う方針は今のところありません.
標本商の悪い面:
日本の標本商は,アジア地域で金をばらまくことで昆虫を得る.その金が現地で破格のため,
現地の人は,現地の産業に従事せず,ムシを採ることになる.このことで現地の産業がダメになった,
という話を聞いたことがある.
最近は生きムシが効果のため,金額が大きくなり,日本のヤクザが絡みだし,
アジア地域では迷惑しているらしい.違法行為は当然行われている.
販売された外国産生きムシが逃げ,移入種となり日本の昆虫に(生態的に)影響を与える.
海外の近縁種が移入すると,日本のネーティブがいなくなる.
良い面:
アジアではまだ聞いたことがないが,アフリカでは焼き畑で森が無くなるため,
それを止めさせるために,現地からチョウを買うシステムをNPOが作っている.
先進国の博物館がチョウを買うことで,現地の森が護られ,人々の現金収入(貧困救済)となる.
> ・標本の譲渡と販売の違い
> ・昆虫好きと昆虫マニア・コレクターの違い
> ・昆虫好きと標本商の違い
これらはあまり区別しても意味がないかも知れません.
> ・研究現場での標本商の必要性
現在のところ,自分の研究では思い当たらない.