某氏からの所見
「昆虫売買がなぜ今、昆虫同好会で表面化してきたのか?よく分かりませんが、
現実的に県内で被害を受けている、そのような地域、種が出てきているのでしょうか?
金井君にも以前お話しましたように、私も現在いろいろな標本商を通じて主にリュウキュウムラサキ、
時に他の外国産有名昆虫を購入しております。リュウキュウムラサキは研究用、外国産などは見せ物用です。
県立博物館勤務時代に博物館の標本の無さに驚き、そして大先輩の鮫島さんの突然の悲報と共に、
そのアトを継いで?個人的に見せ物標本を集めるようになりました。教育普及活動に利用できればと・・・。
ロンドンの大英自然史博物館に行ったとき見たリュウキュウムラサキの標本は,ロスチャイルドという伯爵?の
個人標本が半分でした。彼、彼ら(兄弟?)はお金を出して世界各地の標本を採集してもらってきて集めたものです。
もちろん他のチョウもたくさんありました。分類学の最初の頃は、ほとんどが標本商を通じて手に入れた
虫だったと思います。
標本商を通じて「虫」を手に入れるということは決して「悪」では無いと思います。
若かりし頃、私も鮫島さん宅に奄美大島かどこかの帰りに立ち寄ったという標本商の方と一晩飲み、
私は「虫」を「金」で売買するとはけしからん、自分で採集してこそ、健全な昆虫研究などと
のたまったように記憶があります。そこで彼が言った話の一つに、年をとって体も思うように動かせない
虫好きの老人が好きな虫を、お金を出して買って、それが悪いことでしょうか?というニュアンスの話があり、
返答に困った記憶があります。
魚や肉はお金で何でも手に入ります。絵画や骨董品でも然り、虫が現代の流通社会で売買されても
決しておかしくないでしょう。買う人がいなくならない限り、この商売をする人は存在するのでしょうが、
私が知っている標本商で大金持ちになった人もいなければ、元来彼らは、虫が大変好きです。
西山保典さん、チョータローは以前言ったことがあります。「君はよくも外国産の昆虫標本を日本に持って
きました。今では絶滅した種が多く、その功績は大ですと表彰される日が来るかも?」
これはブラックジョークですが、昔の大英帝国は正にこのようなことに勲章や報奨金を出していたのですから・・・・。
日本の大学では、自分の採った虫を元に分類などは研究していますが、お金があって採り子の教育さえ
しっかりやれば、いろいろな外国産の虫の研究は可能でしょう。
但し、標本商の虫には間違ったラベルが付いていたりすることがありますので、
疑問なものは現地調査などが必要になって来ると思います。最終的にはすべての現地調査をするより、
標本の個体変異だけ見るには、ずっと安上がりでしょう。
とりとめの無い話になりましたが、買う人がいるから売る人がいるということです。
標本でお金を儲けることは所詮リスクが多く無理です。
採集禁止地域の虫や、個体数の少ない虫の標本は所詮取り締まりの対象になって流通からは消える筈です。
但し、裏の流通となると我々の知る範囲ではありませんが・・・・。」