5月の例会の話題
写真は奄美大島名瀬で採ったオオシロモンセセリの終令幼虫頭部
今月の例会は「グァム島に蝶を調べに行って」という題で福田晴夫・ニ町一成の両氏にお話を伺いました.
「グァム島に蝶を調べに行って」
福田氏談(ウルオボエのところもあります.御了承下さい.)
グァム島は車で一周2時間半程度の島.大阪関空から3時間半程度の距離にあります,マリアナ諸島の島です.
日本人が数多く訪れる島ですが,なかなか報告がありません.
今回は2月中旬(乾季の半ば過ぎ)に2日間滞在し,採集を行いました.全部で12種類の確認,
そのうち食草を確認できたのが6種類でした.
【今回見られた蝶】
シロオビアゲハ(少し小形),タイワンキチョウ(斑紋に変異多し),ウスキシロチョウ(ギンモン,ムモン両方),
リュウキュウムラサキ(予想以上に少なかった),オオカバマダラ,マルバネルリマダラ(最も普通種),ハマヤマトシジミ,
ウラナミシジミ,タイワンアオバセセリ,バナナセセリ 他2種
【注目する点】
1.明治の頃に報告された種類と,今回確認された12種類はほとんど変化がない
小さな島なので生活する種類が変化してもよさそうだ.
2.乾季の最中なのか,成虫が見られても卵や初令幼虫が見られない種類がいる.
生殖を中断している可能性がある.
3.2に対し,だらだらと各ステージが存在する種類もいる.
食草が乾季にもかかわらずいい状態であるためだろうか.
4.5.その他
その後,ニ町氏によってスライド映写.食草や産卵姿,幼虫(キョウチクトウにマルバネルリマダラが!!)など.
また,戦争によって無惨な乾燥地になった土地などが映写された.
【質 問】
「食草や産卵植物をたった2日間で判明するにはどんなテクニックが?」
→「落ち着いて蝶の仕草を見ていれば,蝶が教えてくれる」とのこと.
また,東南アジアの国が採集禁止となる中,海洋島は民家の庭にさえ気をつければ採集が気楽にできます.
一人一話
中峯 モンシロチョウの発生に波があるのだろうか.
スギタニルリシジミを奥十曽で♀(GWに)紫尾山堀切峠は通行止め.高尾野町側からでないと登れません.
春の本土アサギマダラは非常に少ない
大坪 モンシロチョウの発生には4月,6月,秋とピークがあり,いつもダラダラといるようではない.
白髪岳のウラキンシジミ,終令幼虫の落下は例年より1週間遅れている.GWでは早すぎ,今日は多く採集できた.
(福田氏:落下を見たことはあるか?何か他の動物が切り落としているのか)
勝田 カラスシジミ市来町で蛹,前蛹,終令幼虫を8匹採集.ちょっと遅いか.
(大坪:金峰町では4月下旬にとれた.遅れているわけではないかも)
ウラキンシジミは自宅で落下した個体を確認したことがある.
今年ツマグロヒョウモンが少なくないですか?
川添 ツマベニチョウ飼育.黄色と緑の蛹ができるけど何故?
(福田:誰も調べていない.調べればいいテーマになりますよ!)
ウスタビガの蛹ができた.
熊谷 最近蝶が少ない.今日は中山から伊作峠にかけてバイクで走った.イチモンジチョウ,
サツマシジミ♀,クロヒカゲなど多かった.
5/11城山では蝶が少なかった.ヤクルリなど全然見られない.
ニ町 ウスバキトンボは土着していない.この蝶が多い日は南方からの迷蝶が多い!注意してみましょう.
串木野では今年テングチョウの幼虫が少ない.多い少ないの変化がある.
木佐貫 金峰,皇徳寺で最近採集している.
イチモンジ,ツマグロヒョウモン,コミズジなど多い.
森永 今年山根先生に就いて鹿児島県のハチの目録を目標にしている.
最近ニホンミツバチの勢力が全国で拡大している.鹿児島はどうなのか?
セイヨウミツバチは少し腹があざやかだが,捕まえて翅脈を見ないと確認できない.
松比良 ベッコウトンボの日周活動を追ってみた.
池ではあまり縄張りに固執しないようだ.餌もとらない.
夕方寝床として林に帰る途中にアブラムシなどをとっているようである.
湯田平 3月末に山川でカバマダラメスをとった.
(福田:おそらく今年の春はこの記録だけかも知れません)
早川 チャバネセセリが犬の糞に来ていた.ミカドアゲハ来ていた.
福田 今日まで種子島でアサギマダラのマーキングしました.5/10~12でスイゼンジナに690匹マークした.
それでもマーキングし切れないほどたくさんいた.問題はいつ南風が吹き,種子島からいなくなるか!!
カバマダラ4月中旬山川に卵,幼虫,成虫いない.
この季節のいなかった記録を集めておくことが今後定着を見極めるポイントになる!!!
だいたい以上でした.
次回の例会の内容は今のところ未定ですが,
「鹿児島のカミキリ」「デジカメの威力を昆虫の世界に」などを考えています.
金井賢一 viola-kk@po.synapse.ne.jp